ファームビズ杉谷です。岡山県奈義町で20~30代の若いファミリー層の移住が増えていると聞きつけ、そのヒミツを探りにやってきました。奈義町は女性1人が生涯に産むと見込まれる子どもの数「合計特殊出生率」(2014年値)が、全国トップレベルの2.81人(全国平均1.42)!子育てしやすい町として注目を集めています。
今回、お話をお聞きしたのは奈義チャイルドホームで子育てアドバイザーとして働く貝原博子さんです。倉敷から移住し、ご自身も3人のお子さんのお母さんです。

奈義チャイルドホーム

手前右が貝原博子さん。奈義チャイルドホームにて。
プロフィール/貝原博子さん
平成13年に奈義町に移住。夫と大学生2人、高校生1人の3人の子どもを育てるワーキングマザー。現在、奈義町営の奈義チャイルドホームの子育てアドバイザー、NPO法人市民活動センター「みんなでしょうえい」の代表を務める。岡山県勝英地域(美作市、勝央町、奈義町、西粟倉村の1市2町1村)の未来をみんなで力をあわせて切り開くために、市民のネットワークづくりに奮闘中。

 

子どもがのびのびと育つ町。地域の大人と子どもの距離が近い暮らし。

移住のきっかけは?

夫は岡山県倉敷市、私は広島県福山市の出身です。結婚してから岡山、倉敷に住んでいましたが、夫の新しい職場が津山市となり、倉敷からは電車で2時間近くかかるため、引越しが決まりました。

津山は岡山県北部では大きな町ですよね。おとなりの奈義町に決めたのは?

私たちはアウトドアが好きな家族で、蒜山高原などにもよく出かけていました。ある時、鳥取方面に行く時に車で奈義町を通りかかったのですが、その風景に「ビビビッ」ときたんです。
ここです(写真下)。美術館の芝生広場で親子イベントが行われていたんですが、開放感があって、空が広く高いのに近く感じる。車から降りて息を吸い込んで、「なんていいとこなんだろう」って。「北海道みたいなとこだね」と夫と盛り上がりました。

奈義町01風景

中央~左の建物が美術館

実際の奈義町での暮らしはいかがですか?

最初は雇用促進住宅(現在「センタービレッジ奈義」と呼ばれる奈義町定住促進住宅)に入居。当時、子どもは5才、3歳、末っ子は4ヶ月の赤ちゃんでした。この住宅には、子育て世帯が多く入居していたおかげで、すぐにご近所さんとも仲良くなってスムーズに町に溶け込むことができました。今は土地を購入し、戸建てに住んでいます。

奈義町は子育て支援に手厚い町だとお聞きしています。具体的にはいかがですか?

奈義町は、子どもの医療費が高校まで無償です。町内には幼稚園や保育園のほか、町から助成をいただける未就学児の親子が集まる親子クラブがあります。

行政の親子クラブなら、どの市、町にもあるのではないですか?

そうですね。確かに岡山にもありました。ここより都会だし子どもの数も多く、たくさんのお母さん方と知り合うこともできました。しかしその分、同じ趣味や嗜好のお母さんがグループ化して集まるようになります。

貝原博子さん01

そうですね、わかります。

それはそれで楽しいのですが、ここで暮らし始めてから、子どものお友だちのお母さんだけでなく、近所のおばあちゃんやおじさん、中学生、高校生のお兄ちゃん、お姉ちゃんとも、どんどん顔見知りが増えて行きました。それは子どもも同じです。学校帰りに娘が、通学路沿いで暮らすおばあちゃんにキャベツをもらって両手にかついで帰ってきたりね(笑)。地区の大人たちは子どもの名前と顔を覚えています。「おはよう」「おかえり」と声を掛け合うことも日常で、町全体で子どもを見守る空気があるんです。親としてはありがたいし、安心にもつながります。

いいですね。私は恥ずかしながら、同じマンションの同じ階の方しか、顔を覚えていないです。
奈義町には、昔ながらのコミュニティが良い形で残っているんですね

そうですね。世代・性別問わず豊かな人間関係の中で、子どもが成長していける。それは子育てする中でハード面だけを整えても、簡単には手に入らないものだと感じています。それと夜が早いです(笑)。余計な街灯がないので、自然のリズムに合わせた子育てをしやすいですよ。日が昇ったら起きて、暗くなったら眠るというシンプルな暮らしです。

奈義町は出生率が全国トップレベルなんですよね

奈義町は約半数が3人以上のお子様がいる家庭です。多い少ないが良い悪いという話ではなく子どもの数はどうあれ、一人っ子なら、子どもの多いところで町ぐるみで育てることができますし、きょうだいが多い家庭にとっては、お話したように育てやすい町といえると思います。

奈義チャイルドホーム02

奈義チャイルドホームの園庭。元保育園なので施設は広々として明るい。

では逆に奈義町に、ここを改善してほしいなと思うことは?

我が子もそうでしたが、高校が奈義町にはないのでバス通学になります。ローカル路線なので定期代が、都会よりちょっとお高めです。家族の仕事先が同じ方面なら送迎してもらってる人もいます。

最後に、地方に移住を考えている方にメッセージをお願いします。

田舎の良さも不便さもそのまま楽しみたいと思える人なら、奈義町はすごく楽しく過ごせる町だと思います。子育て世代なら、学校の行事や町のイベントなどもたくさんあるので、町に溶け込むのも早いのではないでしょうか。ただ車の運転は必須です。道路は広くて渋滞することもないので、ペーパードライバーの方もこっちに来てから、少しずつ運転に慣れていけばよいのではないでしょうか。

奈義町で充実した子育てをしてきた貝原さん。今は町営の奈義チャイルドホームで子育てアドバイザーとして働いています。取材時はホームの開放デー。町内の親子がたくさん遊びにきていました。

奈義チャイルドホーム

私たち親子も、奈義チャイルドホームをよく利用しています。定森智美さん(左)、元番幸恵さん(右)


※奈義町子育て支援http://www.town.nagi.okayama.jp/gyousei/kosodate_kyouiku_bunka/ninshin_shussan_kosodate/kosodate/kosodate_ouensengen.html

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市民活動センター「みんなでしょうえい」
子育てサポート「スマイル」
各家庭のニーズに合わせて必要な活動を行う子育て支援グループです。

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