高知県れいほく地域は、棚田や吉野川の清流など、古き良き日本の風景が残る山村です。ここに今、若い移住者が注目。人口減が続く地域に新たなムーブメントを作り出しています。その立役者となっているのが「れいほく田舎暮らしネットワーク」。『住んでみんかよ嶺北に!』を合言葉に、移住を支援&応援する団体として2007年12月に結成。雑誌「田舎暮らしの本」(2013年9月)で、西日本移住支援団体TOP3にも選ばれました。

今回、事務局長の川村幸司さんに活動についてインタビュー。川村さんには、9月13日(土)に行われるfarm+biz1周年トークイベント「地域×人ヂカラ」にもご登場いただく予定です。

川村幸司さん1

楽しいはずの田舎暮らし 人が集まればさらに楽しい手作りイベントを次々に企画

─移住者のサポートを始めたきっかけは?
私は、高知県れいほく地域出身のUターン組。学生時代を京都で過ごし、そのまま就職、結婚し、子どもの誕生をきっかけに戻ってきました。もともと結婚当初から自然が豊かな場所で、自分たちのペースで暮らしたいと思っていました。
帰って来た当初は田舎暮らしの楽しさを大いに満喫していたのですが、私も妻も学生時代を気の合う仲間とワイワイ楽しく過ごしてきたので、そのうち、ここでもいろんな人と交流を持ちたいと思うように…。

最初は移住してきた者同士が集まっていたのですが、「たくさんの人がもっともっと来てくれた方が楽しいよね」という感じで、田植えイベントや手作り市などを企画。自然と集まる人数も増えていきました。
「みんなで一緒に活動するって楽しい!」。これが活動の原点。地域の人たちもどんどんミックスされ、それがまた楽しさを倍増させる─。れいほく田舎暮らしネットワークの基本もここにあります。

手作り市1

▲「お山の手作り市 」過去開催の様子

移住だけがゴールではない 県外にファンを増やせば地域力はアップ

─自分たちのハッピーを少しずつ周りに広げていく…移住者もスムーズにとけ込めそうですね
そうですね。れいほく地域の人口減は深刻ですが、僕たちの活動は、移住してもらうことそのものがゴールではないと考えています。人と人との結びつきを大切にしたい。この地域を多くの人に知ってもらい、そこで暮らす人も知ってもらいたい。もちろん僕らも、その人たちの暮らす土地に出かけて行って時間を共有します。

人の行き来が活発になると、地域に新しい風が入ってくるのを感じるんです。別に移住しなくても、町のファンが県外にたくさんいることで地域の力がつく─。れいほくのことを第2のふるさとと思ってくれたら、それがゴール。とっても素敵なことだと思って活動していますね。

─とはいっても行政からは、地域活性・人口増と期待も大きいのでは
僕らの移住支援が、地味ながら成果をあげたものですから、平成24年度からは県から補助金が出ることになりました。そのうえ本格的に移住支援団体として行政の緊急雇用(1年限定)で職員を入れて今後も成果をあげてほしいの話があり、私を含め数名が1年の緊急雇用で移住サポートに力を注ぎました。担当したメンバーは通常の仕事をこなしながらだったので、今思えばよくやりきったなぁと。
れいほく田舎暮らしネットワークは、移住者と移住を応援する地元の人で成り立っています。地元の長老の方の理解とパワーが後押ししてくれているのも強みですね。

ただ今は、移住支援を名目に行政から予算が出るからありがたく使わせてもらってるけど、それがあっても、なくても僕たちは続けるだろうなと思いますね。活動を通じての学び、人とのつながりが、生活の質を上げてくれる実感があるから。だからこそメンバーも、積極的に時間をやりくりして活動に参加し続けてくれる。どこに住んでいても、その人が楽しいと思うことをその土地でやろうと工夫してみれば、きっとその場所が楽しく愛しくなるはずです。

棚田

今後はもっとオープンに、そしてより深く『田舎暮らし』という幅広いキーワードで活動していく

活動は順調そうですね。今の課題はなんでしょうか?
空家不足ですね。移住推進を長く行ってきたので、家主さんに声かけをして、すぐに出てくる空家は出尽くしました。町に空家が多いと放火の要因になったり、建物が損壊したり、町の景観も損なわれるなど問題はいろいろあるのですが、実は空家でも貸せる空家というのは意外に限られるものなんです。例えば年に何回かは墓参りで帰ってくるなど。

れいほく地域では、1戸建てでも相場が1万~2万円程度です。責任をもって家主になろうと思ったら、修繕が必要だったり、出費の方が多くてメリットがない。ご高齢の方も多く、面倒なことは避けたいと考えても仕方がないですよね。今後は、こちらが意義を説明し、熱心に働きかけるか、親戚の方からコンタクトをとってもらうかなど、空家発掘に時間がかかりそうです。

空家

 ▲れいほく田舎暮らしネットワークでは、行政と協力し、空家見学も随時行っています。

─今は具体的にどんな活動を行っているのですか?今後の方向性は?
これまでは、県が主催する移住相談会に出展したり、移住希望者を招いてのイベントが中心でしたが、今後は「移住」というキーワードにとらわれずに、「田舎暮らし」に関連した幅広いキーワードで興味を持ってくれる方にアプローチしていきたいと思っています。テーマは、「自然」でも「体にやさしい料理」でもいい。僕たちはこれをオープンコミュニティと名づけています。

その一方で、コアコミュニティというものも作っていこうと思っています。これは、地元の人たちと僕たち移住者が定期的に交流を重ねて勉強会をするというもの。例えばお茶摘み、こんにゃく作り体験など。廃れかけている地域の伝統を引き継いで、それを自分たち・未来を担う子どもたちの生きる力にしていきたい。あとは太陽光発電など、これからの暮らしを考える研究など。自分たちが学びを深めて、地域と強いつながりを作っていけたらと思っています。

今後は「お試し移住」が実現できたらいいですね。田舎へ移住っするて、憧れや夢はあっても実際に行動をおこすとなると金銭的にも精神的にも大変な決断だと思うんですよ。家族があればなおさらです。だから1カ月とか半年など、ステップを踏んで決めることができれば、負担は軽くなるのではないかと思うんです。これは行政と取り組んでいけるよう、これからも粘り強く、あたってみるつもりです。

川村幸司さん2

 

終始、笑顔でにこやかに答えてくださった川村さん。9月13日に行われるfarm+biz1周年トークイベント「地域×人ヂカラ」では、メインゲストとしてご夫妻で講演してくれます。
「れいほく田舎暮らしネットワーク」の公式サイトには移住をはじめ、田舎暮らしの情報が満載です。気軽にサイトをチェックしてみてくださいね。

■ 「れいほく田舎暮らしネットワーク」
高知県土佐郡土佐町田井1450
TEL:0887-72-9303
reihoku.in@gmail.com
http://www.reihoku.in/

★最新イベント★
「ふるさとという最前線in高知県れいほく地方」
日程/9月20日(土)~21日(日)
参加費/28,000円
定員/20人
共催/れいほく田舎暮らしネットワーク、東京藝術学舎

 

■farm+biz1周年トークイベント「地域×人ヂカラ」
ゲスト講師/川村幸司×川村圭子
テーマ:「山カフェから見えたこれからの田舎暮らし」
日程/9月13日(土)14時~17時
場所/まちライブラリー@大阪府立大学(なんば駅から徒歩)
★定員を超えるご応募ありがとうございました。参加申し込みを締め切らせていただきました。
farm+biz一周年「地域×人ヂカラ」

 

取材・文:杉谷淳子

関連記事