昨年秋にスタートしたfarm+biz(ファームビズ)。この春、最初に卒業した駄田井玲二さんが、研修先の農業生産法人 株式会社れいほく未来に正社員として入社しました。大阪府堺市から高知県れいほく地域へ。今の気持ちは?これからは…? 聞きたいことがいっぱい。
現在、farm+biz研修生の指導スタッフとして、同社で働く駄田井さんにお会いし、今の率直な気持ちを聞いてきました。(=以下、文中敬称略)

ファームビズ(farm+biz)卒業生の駄田井玲二さんにインタビュー 1

農業を一生の仕事にと考え始めたのは30代
今春、高知県れいほく地域で就職

─ まずは就職おめでとうございます。

駄田井:ありがとうございます。

─ さっそく4月のインターンシップから、farm+biz(ファームビズ)の研修生のサポート役として、指導してくださってるそうで、ありがとうございます

駄田井:3月25日に入社してからまだ1ヶ月ちょっと。今はまだ知識も技術も研修生と変わらないレベルで…なんだか恐縮です(苦笑)。

ファームビズ(farm+biz)卒業生の駄田井玲二さんにインタビュー 2

─ そもそも農業を将来の職業にしたいと考え始めたのは、いつごろのことでしょう。

駄田井: 最初に就職したところを社会人10年目で退職した時ですね。音楽・映像ソフトの販売店で店長をしていました。商品の発注・ 仕入れ、販売、在庫管理からアルバイトスタッフの管理などです。

仕入れは自分で商品を決めて発注し、品揃えを充実させたり、棚を上手くレイアウトするまでを自由にさせてくれました。それなりに充実してやりがいはあったのですが、経営方針が会社と合わず退職。周りもどんどん景気が悪くなっていった頃で、全く違う世界で可能性を試してみたくなりました。

─ それで農業に?

駄田井:いえ、農業も頭にはあったのですが、介護福祉事業にも興味を持ち始めて…。介護福祉に注目が集まってた時期でもありました。
当時の農業の世界はどこからアプローチしたらいいのか、迷うところもあり、まずは介護ヘルパーの資格をとりました。そこから本格的に農業をしようと決心するまで、かなり迷走してます(苦笑)。

しばらくは自分に向いているかどうかも含めて、介護職に就く決断をするのに悩んでいた頃、ちょうど以前勤めていた会社の元上司からインターネットカフェのオープニングスタッフのお誘いを頂きました。 しかし過酷な夜勤勤めと 体調不良も重なり、結局は辞める事に…。
そこから本格的に「農業」 という業界で自分が働く事について介護よりも強く意識をし始めました。

就農を目指して、積極的に情報収集
自分からどんどん動くことでチャンスが巡ってきた

─ やはり非農家から就農をめざすとなると、モ デルケースが身近にいないので迷いますよね。 farm+biz(ファームビズ)への研修のきっかけは?

駄田井: まずは出来る所からはじめてみようと「農業人フェア」を中心に就農・移住関連の相談会や見学、セミナーなどを情報を集めて新規就農への道を模索していました。都会にいても就農に関する情報は色々出てくるのですが、広く浅い情報では比較検討しにくくて。あとは研修のタイミングもありますね。ここで研修や体験したいなと思っても実施が半年先だったり、こちらの都合がつきにくい日程だったり。

厚生労働省求職者支援制度を使って、新大阪にある農業の職業訓練学校「さわやかアグリ」(※)に参加したことがきっかけです。当時、4カ月のカリキュラムを終了した時に農業生産法人へ面接を受けさせて頂いたり、自宅近くの自然栽培の貸し農園を利用したりして、さてどうしようかと思っていた頃、講師の一人でもあった林先生から、高知県れいほく地域で農業インターンシップが新しく始まるよと教えてもらいました。

─ farm+bizの体験で感じたことは?

駄田井: 3週間のインターンシップを11月と1月で計2回参加しました。これまで、いろんな農業体験に参加してきましたが、就職を視野に入れたインターンシップ研修というのは初めてでした。ゆず・しょうが・カラーピーマン・パプリカ・インゲン・きゅうり・里芋などの収穫・出荷作業からライスセンター内での作業、原木椎茸の駒打ち・さつま芋の加工品のイベント用の商品開発→販売など…様々な経験・勉強をさせて頂きました。

ファームビズ(farm+biz)卒業生の駄田井玲二さんにインタビュー 3

そこでぼくが強く感じたことは、農作業の細かい手作業が好きだということ。もちろん勉強不足で不慣れではあるのですが、同じ作業をどうやったら早く丁寧に効率よくできるのか。常に農作物は呼吸をして生きているので、どうしてあげるのがいいかと考えながら仕事をしていると、時間があっという間にすぎますね。

─ 高知県れいほく地域で就職を決めた理由はなんだったのでしょう。

駄田井: 経済的な事情により農業生産法人に就職したいと考えていたのですが、40歳を過ぎ、年齢的にも正規雇用というのはハードルが高いとあきらめかけていた時に、研修先の今の会社から声をかけて頂きました。驚きと同時に「自分にチャンスが巡ってきた!このタイミングを逃したくない」という気持ちで決断をしました。また高知県の人の温かさ、とりわけインターンシップ研修時から指導してくれた社員以下の方々をはじめ、おおらかで自由な会社の気風にも惹かれました。

働きながら技術も学べる─。非農家で未経験で就農を目指すには、もっとも堅実な道だったと今も思います。自分で独立就農して、お金がなくてもガッツだけで成功をつかむ人もいるだろうけれど、万が一、自分がケガや病気になったり、自然災害、獣害など突発的なトラブルになった時、自分一人でなんとか出来るのかとても不安に思いました。

─ 慎重な駄田井さんらしいお考えです。高知に移住することについて、周囲はどのような反応でしたか

駄田井: 両親・兄弟も含め、周囲はみんな応援してくれました。高知への就職が決まる直前まで、いつでも農業研修に行けるように環境を整え、生活費の足しになればと、コンビニエンストア関連の商品管理のアルバイトをしていましたが、その時の上司をはじめ同じ職場の方々からも、いつも応援してもらい、アドバイスもして頂きました。

計6週間のインターンシップに参加するために休暇を願い出たときは、(こればかりは会社から解雇されるだろうな~)と覚悟してお願いしたのですが、「最初の面接時から、将来は農業に進みたいと言ってたからなぁ。頑張ってこい」と快く送り出してくれました(笑)。

ファームビズ(farm+biz)卒業生の駄田井玲二さんにインタビュー 4

農業は真面目にやった分だけ、良い結果が返ってくる
農業に邁進し、何年かかってもれいほく地域に恩返しがしたい

─ 就職して、今の自分の課題は何ですか

駄田井:運転免許はあるのですが、ほぼペーパードライバーです。でも田舎では運転ができないと話になりません(苦笑)。軽トラックも基本MT車が普通です。耕運機やトラクターの扱いも操作技術が未熟だと感じています。パソコンを含めて機械関係は昔から苦手なんです。機械に関しては「習うより慣れる」と考えて体で覚えます。省力化は欠かせませんし、資格がもし必要であれぱどんどんチャレンジしていきたいです。

─ ズバリ、駄田井さんにとって農業の魅力とは?

駄田井:農業の情報収集をしていた時によく耳をしたのが、農業は真面目にやった分だけ、良い結果が返ってくるという話で自分もその通りだと感じています。自分の場合はまだ始まったばかりで、何を持って結果がみえてくるのかまだわからない状態ですが、とりあえず今は一生懸命に仕事をするのみです。それをちゃんと検証して会社に貢献し、生産性が上がるプラスになるような仕事ができれば…そうしたら結果はついてくるのかなと考えています。

家庭菜園をしていた時もそうでしたが農業をしている人とは、やっぱり話が合うし、知らない人同士でも「何を作ってるんですか」など声をけ掛け合うことから始まります。また農業を知らない方でも「安全・安心な食材」「レシピを聞きたい」とか食に関する話は尽きることがなく、様々な飲食店、加工品や商品化のパッケージや生産・流通の話などはどうなのかなど盛り上がることもあります「食べる」事はきっと人間が生きていく上での基本となる話だからでしょう。

─ 今後についてお聞かせください

この1年間は、上司、先輩の背中を見つめながら必死で農業技術を学ぼうと思っています。そして、れいほく地域全体の素晴らしさを体感して、何年かかっても土佐町をはじめ、地元の方かられいほく地域に少しでもプラスになったと喜んでもらえるように頑張りたいですね。農作物の 6次産業化にも大変興味があるので、将来は薬効成分の高いショウガや機能性食品でもあるブルーベリーを栽培し、いずれは商品開発にもトライしてみたいですね。

 

たくさんの質問に丁寧に答えてくださった駄田井さん。「れいほく未来」の取締役常務の岡部正彦さんも以前のインタビューで、真っ直ぐで、勉強熱心だと彼を評していました。駄田井さん、これからも頑張ってくださいね。farm+bizはいつでも応援していますよ~♪

※ファームビズは、農業塾「さわやかアグリ」を経営する株式会社FPIが現地サポートを担当。

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