未来の植物工場では野菜も水素エネルギーもつくる

高さ約8m、18段に積み重なったトレーにレタスの苗がびっしり。ラックの間を自動搬送でレタス苗が動く。今回は、大阪府立大学中百舌鳥キャンパス内に、昨年9月に誕生した次世代大規模植物工場(C22棟)を訪問し、植物工場研究センター長の安保正一先生にインタビューしてきました。弊社クックビズ株式会社社長・藪ノの母校ということもあり、より気合いを入れて取材スタート!
さて国内最大級の完全人工光型の植物工場とは? 未来の農業のカタチとは?

大阪府立大学植物工場

人工光など最先端技術を使った
植物工場・研究施設としては国内最大規模!

今回、母校で農業の新しい研究が、実用化レベルで稼働しているということで楽しみにしてきました。
早速ですが、植物工場について概要を教えてください。

この植物工場研究センターは、鉄筋コンクリート造2階建のC20とC21棟の2棟(延べ床面積は計2,600㎡)および、平成26年9月に開設した日産5,000株のレタスを生産・出荷する施設、C22棟からなります。本学の研究者と、現在、約80社が集まる企業のコンソーシアムにより運営されています。当センターは、蛍光灯やLEDを用いた「完全人工光型」に特化した研究施設としては国内最大規模を誇り、次世代植物工場の研究開発拠点を目指しています。

そもそもこの植物工場を作ろうとした理由として、農業での生産と経営の安定化を図ることがあります。農業は天候に左右されやすいうえ、最近は異常気象続き。3.11の事故以来、放射線被害を受け、土地があっても農業ができないということも既に起こっています。また世界的にみれば、人口増や砂漠化による食糧危機の問題もあります。これからの農業が気象などの外的要因に影響されずに、より安定して安心・安全の農作物を計画的に栽培できるように様々な研究を行っていきたいと考えています。

大阪府立大 安保正一さん1

安保 正一(あんぽまさかず)。大阪府立大学学長顧問、植物工場研究センター長、工学博士。信州大学繊維学部卒業、1975年、大阪府立大学大学院工学研究科博士課程修了。その後、大阪府立大学工学部(応用化学科)で助手、講師、助教授を経て、1990年に大阪府立大学教授。2007年に同大学大学院工学研究科長(工学部長)、2009年に大阪府立大学理事兼副学長を経て、2013年より現職。

計画的に栽培できれば収入も安定し、農業人を目指す人も増えそうですね

参考にしたのはオランダの大規模栽培です。オランダは日本と同じように国土が狭いうえに、人口は日本の6分の1程度であるのに、農産物輸出額はアメリカに次いで世界第2位です。これには驚くでしょう。オランダの農場では、遥か遠くの先までびっしりハウスが建っています。そこはロックウールやヤシ殻を培地に使った養液栽培で、太陽光と人工光の併用型が一般的です。特に、冬季は太陽光だけでは光が足りないので。一方、日本は朝晩と夏冬の温度差が大きく、太陽光型にすると温度管理にかえってエネルギーコストが高くつくので、当センターでは水耕栽培と完全人工光型を採用しました。

次ページでは、植物工場でできた野菜の特長についてお聞きしました

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