里山の四季の移ろいや暮らし方の提案を
12ヶ月にわけて掲載

こんにちは、farm+bizスタッフ熊谷です。最近よく耳にする「里山」という言葉。日本人ならだれもが思い浮かべるイメージがありますよね。トンボが遊ぶ田んぼ、カッコウの鳴き声が響く雑木林、干し柿が吊るしてある民家…とか。今回ご紹介するのは、琵琶湖のほとりに“生き物の集まる庭”を創造した写真家が、写真とペーパーカットで綴った里山暮らしの物語です。

今森光彦の心地いい里山暮らし12か月――写真家のアトリエ「オーレリアンの庭」か

著者プロフィール:今森光彦(いまもりみつひこ)1954年滋賀県生まれ。写真家。ペーパーカット作家。第20回木村伊兵衛写真賞、第28回土門拳賞などを受賞。著書に「里山物語」「里山を歩こう」「湖辺」「萌木の国」など。 身近な里山に注目した活動は国内外通じて高く評価され、NHKスペシャルの里山関係の作品などテレビ番組の制作にも参加している。

失われゆく仰木の里山の風景
アトリエとして”生き物の集まる庭”をつくりたいと思うように

滋賀県大津市仰木(おおぎ)地区。背後に1200m級の比良山系、眼前に琵琶湖を望むこの土地に、初めてやってきたのは、今村さんが学生時代の時だったそう。それ以降、棚田や自然が残る風景に魅せられ、通い続けた今村さん。少しずつ変わり始める里山を前に、アトリエづくりを思い立ちます。

「舗装工事で小道がまっすぐになり、田んぼが整備され、ため池は埋められ、雑木林はと言うと、逆に手付かずのまま残り、下草がはびこってしまいました。生きものたちの顔ぶれが激減したのは、言うまでもありません。(本文より)」

本書は、 26年にわたるその構想から完成までの様子を初めて綴ったエッセイです。虫や鳥、植物たちと共存する豊かな里山暮らしを、月ごとに写真と文章で紹介するほか、庭で観察される動植物134種を独自の視点で解説。図鑑的な楽しみも味わえる一冊です。また、今森さんのもうひとつのライフワークである「ペーパーカット(切り絵)」の大作15点を収録。見ごたえのある作品集にもなっています。ペーパーカットは、どれも色鮮やかで、写真とは違った迫力がありますよ。

今森光彦の心地いい里山暮らし12か月――写真家のアトリエ「オーレリアンの庭」か

8月の棚田。田んぼに沿って曲線を描くあぜ道が印象的。右ページのペーパーカットは、蝶の鱗粉まで表現!写真とは違った趣きを楽しめます。

 

 里山とは、人が手を入れ守ってきた森林や田畑…
そこでは生き物と人がともに暮らしています。

美しい里山の風景を守り、そこで暮らす生き物や人の営みを守るためには、四季折々に、次の季節、さらに次の年のことを考えてやっておかなければならない作業がたくさん。本書では、美しいシーンだけでなく、夏場に汗だくで行う草刈りや、自家製の腐葉土作りなど、長い年月、毎年大切にしてきた里山の作業にもふれています。

 

今村光彦01

動植物の写真に添えれらたコメントは、観察眼に優れた写真家ならではの視点が光ります。五感をくすぐられる写真集であり、動植物の図鑑としても楽しめます。

まもなく田んぼでは頭を垂れた稲穂が黄金色に輝くシーズンを迎えますね。里山暮らしをしたいけれど、なかなか今の暮らしと両立させるのは…と感じている人もきっといるはず。そんな人にも満足してもらえるエッセイです。視覚だけでなく、里山を五感で味わってください。ページをめくるたび、どこか懐かしい風景が、鳥の羽音が、そして里山の恵みをいただく料理レシピからいい匂いが届いてきますよ~♫

■『今森光彦の心地いい里山暮らし12か月――写真家のアトリエ「オーレリアンの庭」から』(今森光彦著、世界文化社)
今森光彦 (著)
定価:本体2,000円+税

 

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