やってみなくちゃわからない!
ホームレスを就農者に

farm+bizライターの築出です。今回の「Book&Cinema」はお世話になっている農家さんから「めっちゃいいから、読んでみて!」と紹介していただいた『ホームレス農園』。私も読みました。 誰かを支えたい、自分を変えたい、でもどうすれば?とお悩みの方に響くこと間違いなしの本著の魅力をご紹介します。

ホームレス農園

著者プロフィール:小島希世子(おじま・きよこ)1978年熊本生まれ。『株式会社えと菜園』代表取締役。野菜の産地直送の会社に勤務したのち、農家直送のネットショップを立ち上げ、2009年には『株式会社えと菜園』(神奈川県)を法人化。2011年からは『体験農園コトモファーム』も開催。これらの事業とともにホームレス、生活保護者などの農業研修、就農サポートを行う。そのめざましい活動から、メディアからも注目される若手農業人。

働きたい、自立したいと思うさまざまな人が集う農園
原点はホームレスに声をかけたこと

『ホームレス農園』は著者・小島希世子さんが農業を目指したきっかけから、農園の立ち上げ、現在までを真摯に語る本です。小島さんが運営する農園『コトモファーム湘南藤沢』は、逆境のなか、就農を目指すさまざまな人が研修を受けています。

大学進学のため熊本から上京し、小島さんが一番驚いたことは大都会で路上生活している人がたくさんいたことでした。 小島さんは思い切って、1人のホームレスに路上生活の理由をたずねます。
すると、そのおじさんは「働く意欲はあるのだが、住所も電話もないために雇ってもらえず、定職につけない」と答えたそう。小島さんは、意欲はあっても社会復帰できない現状の厳しさを初めて知ります。

路上から農場へ
「ホームレスをファーマーに」大作戦スタート!

大学卒業後、幼少の頃より憧れていた農家になるべく、農作物のネット販売事業や体験農園を立ち上げた小島さん。体験者の集まる週末は人手が足りるものの、平日はたった1人。
畑を世話をする人がいないと悩む小島さんに、あの時のホームレスの言葉が蘇ってきました。

仕事を探しているホームレスの人がいるじゃないか!─

小島さんはさまざまな人に反対されながらも、3人のホームレスをアルバイトとして雇うことに。ここから「ホームレスをファーマーに!」大作戦はスタート。
しかし実際やり始めてみると、問題、難題は次から次へと押し寄せます。 畑にお酒を飲んできてしまう人、夜型の生活がたたって畑で昼寝する人。心理的な居場所を巡って人間関係のトラブルが絶えない人などなど。 そのたび、小島さんは真摯な態度で乗り越えていきます。
研修生のなかには不安な気持ちを強い言葉でぶつけてきたり、「お金を貸してくれ」と頼む人も。そんなとき小島さんは、「あなたは私のお母さんではない」ときっぱりと断ります。
「結局のところ、自分を立て直すのは自分しかいない」と語る小島さん。支える側だからこその覚悟が伝わってきます。

「農業」を通じて変わろうとする力を支える

農園は、ホームレスの人だけでなく生活保護を受けている人、ひきこもりやニートなど、さまざまな事情で仕事を失ったり、社会生活から遠のいた人を受け入れ、就農までをサポートしていきます。 農作業を通じて就農を叶えた人、自信を取り戻した人、人とのコミュニケーションが少しずつ上手くなった人のエピソードも紹介。
農作業の楽しさ、喜びを実感する人、自分でも1つのことをやり通せると自信を取り戻した人まで、多様な変化がそれぞれに生まれています。

「人が変わるとき、それは自分自身の内なる力で変わっていくものだ。誰かに外側から変えてもらうことはできない。変わろうとする内なる力が芽生えるきっかけを少しでも提供できればいいと私は思う」と語る小島さんのあたたかい言葉に、思わず胸があつくなります。

『ホームレス農園』では、ホームレスや生活保護をとりまく問題もわかりやすく紹介。また、就農サポートとともに、小島さんが行っている「消費者と生産者」、「人と農」を近づけるためのネット販売事業、体験農業の活動も随所に登場し、農業に興味をもつ幅広い方が楽しめる内容になっています。
農業の楽しさ、誰かを支える喜び、どんな状況であれ自分を変えていける可能性を『ホームレス農園』は教えてくれます。みなさんもぜひ手にとってみてくださいね。

■『ホームレス農園』 小島希世子著 1450円+税/河出書房新社

 

読者プレゼント(3名様)

『ホームレス農園』

今回、ご紹介した本を読者3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記、応募フォームにてご応募を。抽選で3名様に進呈します。締切/2015年4月27日(金)
※当選の発表は本の発送をもってかえさせていただきます

※「ホームレス農園」の読者プレゼントは終了しました。

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