大人気コミック『銀の匙 Silver Spoon』の原点がここに!
農家だから描ける、パワフル&ワイルドなコミックエッセイ☆

こんにちは、farm+bizライターの築出です。今回は私が1巻発売当時から愛読しているコミックエッセイ『百姓貴族』をご紹介します。

作者は『鋼の錬金術師』や『銀の匙 Silver Spoon』などで大人気のマンガ家・荒川弘さん。実は荒川さんは北海道の農家出身で、マンガ家になるまでは実家で農業と酪農に従事していました。『百姓貴族』では農家のオドロキの生活と痛快エピソードをコミカルなタッチで描いています。

百姓貴族:写真

著者プロフィール:荒川弘(あらかわひろむ)北海道出身のマンガ家。1999年にデビュー。 初連載『鋼の錬金術師』はヒットし、TVアニメ化に。第15回手塚治虫文化賞新生賞、42回星雲賞コミック部門などを受賞。現在連載中の『銀の匙 Silver Spoon』は映画化、『アルスラーン戦記』(原作/田中芳樹)はTVアニメ化されている。『百姓貴族』は現在「月刊ウィングス」にて連載中。

 

パワフル荒川家&農家生活に迫る!
家訓は代々「俺にできる事はお前にもできる」

『百姓貴族』には荒川さんはじめ、パワフルな荒川一家も登場。なんとお父さんは真冬にブリーフ1丁で牛の出産に立ち会い、お母さんは荒川さんの出産時、陣痛がくるまでトラクターに乗っていたとか。す、すごい・・・。

荒川さんも幼い頃から「俺にできる事はお前にもできる」というお父さんの豪快モットーのもと、農業のキホンを叩きこまれ、溶接の技術や、未成年で免許もないのに(!?)フォークリフトの運転も習得。牛の出産にも何度も立会い、生まれた子牛の性別をすぐに判断できるように。

北海道は動物もワイルド。ある夜中、異変を知らせる牛の鳴き声で起きた荒川さん。ねぼけまなこで牛舎に行き、電気をつけようとした瞬間、真後ろで生臭い息が。
「暗闇になんかいる つーかクマ!!??」
瞬間的に「死んだ!」と最悪の状況を覚悟した荒川さん。せめて一死報いらんと暗闇の中、鍬をもって振り返ると・・・そこには! との手に汗握るエピソードも。ぜひこの最後は本編でお確かめくださいね(笑)

 

「なんだろう、この気持ち」
需要と供給、経営と牛の命に悩む農家

『百姓貴族』では、農業従事者ならではの苦悩も描かれています。ある年、牛乳の余剰生産を抑制するために農家に生乳の廃棄を促す生産調整が行われ、荒川さんの農園では30tという丸々1ヵ月分の生乳と4頭の親牛を淘汰しました。

また、あるとき脊髄を痛めた子牛が生まれ、家族で歩行訓練とマッサージを施したものの1度も立てず、獣医さんを呼び診察してもらうことに。獣医さんはこの子は珍しい症例なので実験動物として譲ってほしいと荒川さんに打診しました。

「家畜は消費動物だ。経営にプラスにならない時は早めに処分しないと手間とエサ代等で赤字が増えて行くだけ…ということは小さい頃から否応無く心身に染み込んでいたが、なんだろうこの気持ち」

愛情こめて看病した子牛をどうするべきなのか。荒川さんとお母さんは一晩考え、「研究用にするのはやめてください。ひと息に殺してください」と子牛を肉用として家畜処理場に引き払うことを決めたのでした。人の計画によって生まれ、育つ運命の家畜と農家の関係を深く考えさせるエピソードです。

「おもしろい!」と「なるほど、そうだったのか」が一緒に楽しめる『百姓貴族』は、現在3巻まで発売中。ぜひぜひ手にとってみてくださいね。

 

■『百姓貴族』①~③巻
荒川弘著 新書館発行

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