世間を賑わすドローンが 農業界で注目を集める

この春、首相官邸の屋上に、知らぬ間に落下(着陸?)したことをきっかけに、一挙に世間から注目を集めた小型の無人飛行機「ドローン」。法規定がないまま、利用者が急速に広がっていることで、マイナスイメージが先行しているようですが、ドローンの活用は今、農業界で大きな話題になっています。6月には、セキュア ドローン協議会が設立され、北海道旭川市の農場で実証実験がスタートしました。どんなことが期待されるのか、また今の課題について、同協議会 会長の春原久徳さんにお伺いしました。

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画像協力/セキュアドローン協議会

そもそもドローンとは

ドローンとは、無人航空機の総称です。はじめは軍事用として開発されました。現在はホビー用としての需要から、空撮、物流、そのほか災害時には、人が入っていけないような場所を調査できるなど幅広いシーンでの活用が見込まれています。とりわけ農業界では、人材不足もすすんでいることから、ロボット技術やICT(=IT)を活用した新たな農業=「スマート農業」に期待が高まっています。

春原さんは「特に『精密農業』においての活用が期待されている」と話します。『精密農業』とは、農地や農作物の状態を観察・管理し、きめ細かく制御することで収量や品質向上を図り、次年度の計画を綿密にたてて農業を管理する手法のことです。

農業✖ドローンでなにができるの?

■画像解析により、農場の状態を把握できる

広い農場で人間が全てを目視し、状況対応するのは時間と人的コストがかかります。ドローンなら、空撮し画像解析することで、人的コストをかけずに迅速に農場の状態を把握。おまけに手元にレポートとして残すことができます。「例えば、空撮した画像から、生育の遅れや害虫、病気の発生を発見するとともに、ドローンにプログラミングしておけば、指定した範囲に農薬や肥料をオートメーションでまくこともできます」。

【ドローンならこんなことができる!】
・成育状況の把握
・土壌分析
・潅水状態の把握
・害虫被害や病気の早期発見
・肥料の施肥

ドローンを使って空撮。農場の様子が一目瞭然! 撮影/セキュアドローン協議会

ドローンを使って空撮。農場の様子が一目瞭然!
撮影/セキュアドローン協議会

■農作業の計画をたてやすく、適材適所に人材を配置できる

農作業は、作物や品種によって育て方が全て異なります。経験と勘に頼る部分が大きく、作業員の熟練度により収量や品質に大きな差が出るため、農園主も農場に出て、人を教育したり農作物をチェックする必要がありました。しかしドローンを使えば、遠隔でチェック作業ができるため、農園主は農場に必ずしもいる必要はなく、本来の農場経営や栽培計画に注力することも可能。また画像やレポートから、農作物の成育を明確に予測できるようになれば、作業時の判断も易しくなり、単純作業はアルバイトに任せるなど適材適所に人材を配置できます。

「遠隔操作ができるので、副業化しやすくなります。日本は兼業農家が多いのでメリットは大きく、別の仕事を持ちながら農業をしたいという方も新規参入しやすくなるはずです」。

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旭川市のぶどう畑の様子。撮影/セキュアドローン協議会

害獣の生態動向も可能に!

現在、北海道旭川市で行っている実証実験では、ドローンを使って、北海道のブランド米「ゆめぴりか」のタンパク質の数値状況を赤外線をあてて調査。品質を維持しながら、適切な施肥量と収量について検討するなどの実験が行われているそう。

「先日は、農場に熊が出没。ドローンは、今後、害獣となる動物の生体観察にも役立つことでしょう。体温をキャッチするサーマルセンサーを搭載すれば、葉っぱの影に隠れていても見つけられますし、生態観察から害獣の侵入経路や出没しやすい時間なども予測できるようになります」。

人が農場を見回って熊と遭遇したら、人的被害も大きくなりそう。こんなところにもドローンは活用されるんですね。熊の出没については、セキュア ドローン協議会のフェイスブックにも。ぜひチェックしてみて。
■フェイスブック セキュア ドローン協議会
https://www.facebook.com/securedrone

今後の課題は3つ
操作性、 セキュリティ、クラウドプラットフォームの整備

春原さんは、旭川市の実証実験の様子から、現在の課題は3つあると説明。
1つはドローンの操作性。農業界で普及するには、より操作が易しくなることがポイントになると話します。「今はドローンを扱うには熟練の技術が必要です。今後は自動航行ができるようになっていくでしょう」と春原さん。

2つめはデータのセキュリティーの強化。今はドローンの機体認証がないので、誰が操縦しているのか判別できない状態。外部からハッキングされる可能性もあり、今までのITテクノロジーを応用し、改善していく必要があります。

3つめは、クラウドプラットフォーム(下図)のプログラミングについて。例えば農業界のドローンの利用が進んでいる米国では、小麦、トウモロコシなどのプログラムのベースが豊富にあります。しかし日本ではコメが主食になるので、データベースを独自に開発する必要があり、例えばコメならのその種類、栽培工程、作業内容によって全てプログラムをつくる必要があるとのこと。ハードがあってもソフトが充実していないという状況だそうです。
「ドローンはコスト面でもメリット大。セスナを使った農薬散布や、衛星を使った情報入手は、1回につき数十万にもなります。しかしドローンの機体を仮に100万円で購入したとしても、プログラミング次第で目的に応じた多様な使い方ができます」と語る春原さん。
旭川市に引き続き、今年度は沖縄でも実証実験を行う予定です。

セキュアドローン協会(SDC概念図)

ドローンが一般化されるには、まだまだ乗り越える課題がありそうですが、誰もが使いこなせるようになれば、農業そのものがグンと変化するはず。セキュアドローン協議会では、農業界におけるドローンの活用についてセミナーをしたり、相談や問い合わせを受け付けていますよ。ぜひHPをチェックしてみてくださいね。春原さん、今日はありがとうございました。

【取材協力】
セキュア ドローン 協議会
http://www.secure-drone.org/