farm+bizスタッフ杉谷です。今回は、7月新刊の「島耕作の農業論」をご紹介。著者はもちろん週刊モーニング人気連載漫画「会長 島耕作」でおなじみの弘兼憲史さん。ついに会長となった島耕作を登場させながら、「攻める農業」の現在と未来を徹底解剖。農業の今を知る、わかりやすくて楽しい入門書になってますよ。

simakousaku150801

著者:弘兼憲史(ひろかねけんし)1947年9月9日生まれ。漫画家。山口県岩国市出身。早稲田大学法学部卒業後、松下電器産業広告宣伝部に勤務。漫画家として独立後、1976年「朝の陽光の中で」で本格デビュー。1984年「人間交差点」で第30回小学館漫画賞、1991年に「課長 島耕作」で講談社漫画賞、2000年「黄昏流星群」で文化庁メディア芸術祭マンガ部門を受賞。2007年には紫綬褒章を受賞。妻は漫画家の紫門ふみ。

これっておかしくない?農業の当たり前は、ほかの業界では通用しない

漫画「課長 島耕作」がスタートしたのは1983年。その後、主人公の島耕作は、部長、取締役、常務、専務、社長ときて、ついに2013年に会長に。そして会長となって、まず取り組んだのが農業。著者の弘兼さんは「会長ともなれば社業に加え、日本経済全体を担う財界活動で力を発揮させたかった。そこでテーマの1つにしたのが農業」といいます。もともと区民農園で野菜作りの経験もある弘兼さん。国内外の最先端をいく農場を精力的に取材したうえで、「農業こそが日本の次の産業になる─」ときっぱり。

冒頭、はサントリー社長・新浪剛史さんとの徹底討論。元ローソンの社長で、コンビニ界で初めて自社農場で野菜を生産・販売させたキーマンです。農協は本当に悪なのか、日本の農業はなぜ過保護になったのか、農業にマーケティングという概念はあるのかなどなど。ほかの業界では通用しない農業界の“おかしなところ”を、二人があぶり出す感じが興味深く、楽しんで読み進めることができます。

難しい解説は「会長 島耕作」の漫画を引用

日本の農業の問題は、いろんな事情がからみあっているので、全てを理解するのは難しいもの。これまでの農政を理解しようとすると、わからない言葉が出てきて、その言葉を調べると、また??となって…結局、お手上げだと感じる人も多いのでは。著書では、随所に漫画を引用。わかりやすく頭に入ってきますよ。大分の先進的な農場や、世界第2位の農産物輸出額を誇るオランダの植物工場も、文字だけの説明よりリアルに理解できます。漫画の数コマによって描かれる植物工場は、さながら食品工場のよう。働き手は海外出稼ぎ組で経営もシビアです。
「島耕作の農業論」は、農業を取り巻く知識の乏しい人も、「○○論」と名のつく本は手にしたことがないという人にもオススメですよ。

弘兼さんは、農業はクリエイティブでカッコイイ仕事だと語っています。TPP問題で揺れ動く日本農業の未来を読み解いてみませんか。これからの農業の方向性を考える一冊になるはずです。もちろんこれを読んだら、漫画「会長 島耕作」も読みたくなるはずですヨ。

■『島耕作の農業論』(光文社新書)
弘兼憲史 (著)
定価:本体740円+税

関連記事