農業に向いていない農家が
奮闘・工夫・現在を鮮やかに綴る

こんにちは、farm+bizライターの築出です。今回の「Book&Cinema」は、今、農業界で注目を浴びる「久松農園」代表取締役・久松達央(ひさまつ・たつおう)さんの著書『小さくて強い農業をつくる』をご紹介!

茨城県で年間50品目以上の有機野菜を生産する久松農園。久松さんは、慶応義塾大学を卒業し、一流企業の営業マンに。そんな久松さんが、なぜ農業の世界に飛び込み、少量多品目の有機栽培に成功しているのか。 現在までの悪戦苦闘と、経験と勘を頼りにしない農業の「秘訣」が本書に詰まっています!

 

小さくて強い農業をつくる

 

一流企業サラリーマン、農家を目指すがおちこぼれに。

一流企業で輸出営業マンとして海外取引を担当していた久松さん。しかし、次第に会社という肩書きを背負って働く窮屈さに疑問を抱きます。そんな時に出会ったのが、学生時代から関心のあった環境問題と深く結びつく、有機農業でした。
やりたい!と意気込みだけのほぼ無計画状態で、久松さんは会社を退職。農業生産法人に研修生として入社しますが、農業の経験がほぼない久松さんは、作業スピードも遅く、収穫もなかなかうまくいきません。頭脳明晰な久松さんがはじめて味わった挫折。「どこまで行っても人並み以下の仕事しかできませんでした」。結局、おちこぼれのまま1年ほどで農業生産法人も退職。

その後、久松さんは土地を取得、ゼロから農業を始ますが、思うように作物が育たない状況が続きます。「自分には農業のセンスもガッツもない」。では、どうすればいいのか。自分で導きだした答えが、作業の言語化でした。

小さくて強い農業をつくる:04

 

言葉を通して農業に挑む
経験も勘もない農家が生き抜いていく方法とは

子どもの頃から口が達者で、何をするにも体で覚えるより、理論先行型だった久松さん。この性格を活かし、多くの農家さんが作業のなかで体得する経験や勘を、言葉にして身につけることを決意しました。
例えば、「なす通路の除草は、タイミングよく」という有機農業の教科書の何気ない文章も、久松さんはなすの成長スピード、除草の期間、サイクル、どんな農具が適当なのか、すべて言葉にまとめ、マニュアル化します。

一度できたマニュアルは実践して、さらに検証。このようなブラッシュアップを続けることで、作業効率と生産性が向上。また、マニュアル化した作業内容を、農園スタッフの引継ぎ時にも活用し、データを蓄積します。そのため、作物不良などの事態が発生してもデータを使用し、推測・応用が可能になりました。

「本来なら、言葉に置き換えないで体で覚えられる人のほうが早い」と久松さんは語ります。しかし、戦う術はある、とも断言。「弱さを受け入れ、自分にあった戦い方をみつけることができれば、向いていない人でも“たまには”勝てる。そう思っています」

鍬が使えないからこそ、工夫する

久松農園は、久松さんと7人のスタッフで、年50品目以上の野菜を栽培から出荷まで手がけています。本書では、スタッフのスピード感溢れる働きぶりと、それを支える綿密なスケジュールや、作業マニュアルを紹介。ITもフルに活用、農作業を記録する日誌はGoogle Driveなどのクラウド上で管理。FAX送受信もネットで行っています。広報・宣伝についてはFacebookなどのSNSを通して、農園の幅広いファン作りに取り組んでいます。

鍬が上手に使えない僕は、コンピューターがない時代だったら、自分は農業などとてもできなかった、と久松さん。だからこそ、「農業は○○ではなくてはならない」という固定概念から離れ、他の道具を工夫して、いい作物を作るにはどのようにすれば良いのか追及していく。そのたゆまぬ努力の結晶が、今の久松農園に結びついています。

農業を志す人の誰もが「農業に向いてないのかも」と不安になったときがあるはず。そんなとき、本書は農業で生きていくためのヒントと、あきらめず前進する強さを与えてくれます。ぜひ、ご覧ください(B6判並製・288p)

 

小さくて強い農業をつくる:久松さん

久松達央(ひさまつ・たつおう)
1970年茨城県生まれ。1994年慶応義塾大学卒業後、帝人株式会社に入社。1998年、独立就農。『キレイゴトぬきの農業論』(新潮新書)も執筆。ソーシャル時代の新しい有機農業を展開し、農業界からも高い注目を集めている

■『小さくて強い農業をつくる』
1500円+税/晶文社 発行
好評発売中!

読者プレゼント(3名様)

今回、ご紹介した本を読者3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記、応募フォームにてご応募を。抽選で3名様に進呈します。締切/2015年2月23日(月)
※当選の発表は本の発送をもってかえさせていただきます。

※「小さくて強い農業をつくる」の読者プレゼントは終了しました。

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