おいしい野菜、フルーツの条件
良い食材は、持った瞬間、手にズシリと「重み」がある
おいしい野菜や果物を判断するのに重要なことは、手に伝わる感触だそう。なんでもかんでも重ければいいといわけではなく、中にはレタス類のように、ふわっとした巻きの方が良いものもあります。
ただ見た目より、重く感じるものには、十分な水分がたくわえられ、収穫してから日が浅い証拠なのだそうです。では個別にみていきましょう。
【野菜】
葉菜類
- 巻きが固い。
- 芯の切り口が白く、乾燥していない。(時間が経つと、黄色、茶色に変色)
- ニラやネギ、ほうれんそうなどは、葉先、根っこ部分がピシッとしている。
(目利きからのコメント)
白菜などの切り口に、包丁でつけた切れ目があるのを見たことはありませんか?これは、販売店がわざと切れ目を入れたもの。こうすることで、葉菜類の巻きがゆるむのを防ぎ、新鮮にみせる効果があります。できれば切り口に切れ目がなく、巻きが固いものを選びましょう。
土もの類
- ジャガイモは、シワのないもの。
(目利きからのコメント)
ジャガイモは、芽が出ていたり、表皮が緑色のものでも、大ぶりに削れば、おいしさにはさほど問題がありません。じゃがいもは、収穫後に貯蔵し、順次出荷となります。緑に変色する理由は、貯蔵時に日光があたり、成長が促進したためです。
きのこ類
- 肉厚であること。
- 軸がしっかりしていること。
- 松茸は、カサや軸が固く、開いていないもの。
- しめじは、プリッと弾力があり、パッケージに水滴のついていないもの。
(目利きからのコメント)
きのこ類は水にふれると傷みが早いので、保存に気を配りましょう。
【果物】
大原則は以下
◎箱買いするときは、買う前に開けて中を確認しましょう。
◎果物の保存は常温で行います。冷やして保存すると香りがとび、糖度が落ちます。
◎果物は、購入してから食べるまでの時間の長さにより、選別方法が変わります。
りんご、梨、柿
- りんご、梨は、軸が太いもの。
※軸が太いと、栄養の吸収が良いため、甘みが強くなる傾向があります。
(目利きからのコメント)
りんごは、お尻の部分までしっかりと色づいているものが、熟していると思っている方が多いようですが、これは間違い。
りんごは、日光にあたる部分が赤く色付きます。生産者が消費者の志向に合わせて赤く色づくように栽培しているケースがほとんどで、方法としては、以下のように栽培しています。
1、りんごの実に近い葉をカットして、まんべんなく日光が当たるようにする。
2、地面に反射シートを敷き詰め、りんごの下の部分を赤くする。
最近では、「葉とらずりんご」が登場。そのわけは、光がよく当たるように、葉をたくさん摘み取ると、その分、光合成が充分に行われず、りんごの糖度が上がりにくいため。「見た目のりんご」ではなく、「実際に甘いりんご」の人気が上昇しています。
かんきつ類
ヘタがきれいなもの。
パイナップル
- 下の方が大きいずんぐりした形のもの。
- 甘い香りがあるものが食べ頃。
(目利きからのコメント)
ラ・フランスもおおむね同じです。
購入すべき、精肉、鮮魚の条件
食材から汁が出ていないもの、冷凍品は霜がついていないもの
日本人は、世界的に見て鮮度にこだわる人が多いのですが、全てとれたてがおいしいとは限りません。精肉、鮮魚は熟成させて旨みを引き出す工程が必要なものも多く、さばきたてばかりが食べ頃とは限りません。
大原則は以下
◎トレーに汁が出ていないもの。
◎冷凍品は霜がついていないもの。
汁は、肉や魚に含まれる水分や旨み成分が溶けだしたもの。冷凍品の霜は、食品の水分が冷凍やけにより凍ったものです。
では個別にみていきましょう。選ぶなら以下の条件を参考に。
【精肉】
- 牛肉は、脂身が白色でツヤがあること。赤身と脂身の境目がくっきりしているもの。
- 豚肉は、みずみずしいピンク色であること。脂身は白色でツヤがあること。赤身と脂身の境目がくっきりしているもの。
- 鶏肉は、色が鮮やかで弾力とハリがあること。時間が経つと軟らかく水っぽい感触になります。
(目利きからのコメント)
牛肉の黒ずみを傷んで食べられないと思っている方がいますが、牛肉は空気にふれて酸化すると赤色に変わります。貯蔵の際、下の方にある肉が黒ずんでいるのはそのためで、空気にふれると赤色に変わります。
【鮮魚】
- 一尾ものの魚(頭と尾がある)は、全体にハリがあって、目が澄み、えらが鮮やかな赤色のもの。
- 切り身の魚は、切り口が鮮やかで、身にツヤと弾力があり、血合が濃い紅色なもの。古くなると黒ずみます。
- 刺身の柵は、角がピンとしていて、ハリがあること。
- 殻付きの貝は、口が閉じているもの、またはさわるとすぐ閉じるもの。
(目利きからのコメント)
魚肉は小さいものほど、鮮度がキメテですが、マグロなどの大型魚は、適切な温度で一定期間、保存してから程よい頃に店頭に出します。水揚げされたばかりのマグロを食べると、実は味のないガムのようなんですよ。熟成させることで、マグロの美味しさと食感が引き出されます。
仕入れのプロからアドバイス!食材は生かすも殺すも包丁しだい
築地で食材を目利きするプロの卸売業者さん曰く、ポイントは「購入時に食材を持ってみること」だそう。そして手に伝わってくる感触に注意をはらうことと力説。人間の手のセンサーには、重さだけでなく、モノの微妙な違いを察知する能力があると話します。仕入れる時に感じた手の感触や匂いと、料理の味にどのような関連性があるのか、意識するだけで目利きの勘が養われるのではないでしょうか。
もちろん「保存方法も大事」です。保存状態が合っていないと、鮮度の低下、腐敗、カビの発生につながります。日本では、食べられるのに捨てられる「食品ロス」が、家庭の食事だけで年間500~800万トンになるのだとか。これは「国民1人が毎日おにぎりを1~2個捨てている」計算になります。
また調理のアドバイスとして、
「包丁は毎日手入れをすること」とアドバイス。築地の卸売市場では、どこの店でも、毎日、閉店後は包丁のケアをおこなっていると話します。
「ベストな状態の包丁を使うだけで切断面が変わり、食材の旨みを逃しません。例えば千切り大根など、包丁の切れ味が違うだけで、シャキシャキ感に違いが出て、その状態を維持する時間も変わりますよ」。
食材を上手に扱うには、
1、仕入れ時に目利きの目を養い
2、保存法に気を配り
3、包丁など調理器具をベストな状態に保つこと
といえそうです。ぜひお試しあれ。